巨大産業「ビデオゲーム業界」の変遷と今後の展開
ビデオゲームは、長年にわたり、あらゆる年齢層のゲーマーに人気のあるエンターテインメントでありました。ビデオゲームというものが初めて開発されて以来、初代の任天堂ゲームやAtariのゲーム機など、長い道のりを歩んできたのです。
ビデオゲーム産業も巨大です。実際のところ、映画業界や音楽業界全体よりも規模が大きく、しかも、その勢いは年々増すばかりです。音楽業界や映画業界ほど注目されていないにもかかわらず、全世界で20億人以上のゲーマーがいるといわれています。この数字は、全世界人口の約26%に相当します。
こうした点を考慮すると、数多くの企業がその一翼を担おうとトライするのも当然のことでしょう。ビデオゲーム産業は、2023年までに1,550億ドルの収益を上げると予測されています。2025年までに2,600億ドル以上の売上を上げると予想しているアナリストもいるほどです。
ストリーミングとIT企業
ここ数年、FacebookやApple、Googleなど、従来とは異なるタイプの企業がビデオゲーム分野に進出してきています。勢いにのるIT業界では、Spotifyで音楽を聴いたり、Netflixで映画を見たりするのと同じくらい、ビデオゲームのストリーミングをごく自然に楽しめるようにするために努力がなされているのです。
中でも、Microsoftは、よく知られたXboxのプラットフォームで、すでにビデオゲーム業界にその名を轟かせています。同社は2019年、ユーザーがXboxのアクティビティをPCや他のデジタルデバイスにブロードキャストできるストリーミングビデオゲームプラットフォーム「Project xCloud」を発表しました。2020年9月から、このサービスの配信は本格的に始動し、現在では、Xbox Game Pass Premiumのユーザーも利用できるようになっています。
他のIT企業も、ユーザーがパソコンやゲーム機器を必要とせずにビデオゲームをストリーミングできるようにしたいと考えています。この傾向がこのまま続いていくと、カートリッジやディスクの形をした物理的なビデオゲームの数はますます少なくなるでしょう。
マーチャンダイジング
ビデオゲーム業界もまた、映画業界と同様に、知的財産からより多くの利益を獲得したいと考えているようです。そのため、人気作に関連したTシャツ、コレクショングッズ、帽子、マグカップなどがすでに多く発売されています。MicrosoftのXbox用ゲーム「Halo」シリーズは、小説やコミックなど、さまざまな形式のエンターテインメントで展開され、近々、テレビシリーズやかねてから噂されていた映画も公開される予定だそうです。これらが今後ヒットを収めれば、他にもビデオゲームのストーリーをテーマにした作品が続々と出てくるかもしれません。
実際、UBISOFTの大ヒットゲーム「アサシン クリード」は、2016年に有名俳優を主演に起用して映画化されました。また、SEGAを代表する人気ゲームキャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」は、2020年に有名俳優を起用して大ヒット映画化され、ゲーム原作の映画としては史上最高のオープニング週末興行収入を更新しています。
市場の人口動態の変化
ビデオゲーム業界のもう一つの傾向としては、市場の人口動態の拡大が挙げられます。ビデオゲームをプレイする人口の年齢層は低年齢化しているうえ、今までは圧倒的に男性が多かった男女比も平等になりつつあります。 また、eスポーツ世界大会に出場するトップクラスのプロゲーマーが、アメリカに入国する際にプロアスリートビザを申請できるほど、多大な影響力を持つようになっています。
まとめ
ビデオゲームの人気は世界的にみても非常に高く、自宅でゲームをプレイしている様子を録画してストリーミング配信するだけで、何十万ドルも稼ぐプロゲーマーも存在するほどです。これは、ビデオゲーム業界の新たな収益源として発展しつつあります。このように、ビデオゲームにはまだまだ幅広い魅力があり、これからも成長を続けることでしょう。